前回の「平ゼミってどんなゼミ?」課外活動編では卒業論文を執筆するための情報収集と整理、およびそれらを分析する技法を学びました。今回は、卒業論文の参考資料を収集するということに焦点を定めて、より実践的な技法を修得するべく、国立国会図書館 National Diet Library(東京本館)に足を運びました(2023年8月30日)。
1948年に創設された国立国会図書館は、納本制度(図書等の出版物をその国の責任ある公的機関に納入することを発行者等に義務づける制度)にもとづき、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館であり、満18歳以上であれば誰でも入館することができます。入館に必要な利用者IDは、窓口またはオンラインで利用者登録をおこなうことで発行されます。明治期から戦時下にかけ、国の検閲で処分を受けた大量の「発禁本」を含む4621万点以上もの文献資料が保管されており(2021年度)、原則すべて閲覧することが可能です(ただし、厳格な手続きのもとで資料利用制限措置が採られる場合があります)。また、一般利用者に対する所蔵資料の閲覧や複写などのサービスのほかに、国会議員からの依頼を受けて、所蔵資料・情報などの提供、政治・経済・社会・科学技術など多岐に渡る調査の実施、国政課題に関する研究成果の公開など、国会活動を補佐するさまざまな役割を担っています。さらに、行政・司法の各府省庁および最高裁判所の支部図書館や海外の国立図書館および関係機関に対しても資料の貸出しや複写などのサービスを実施しています。なお、図書館の利用および文献資料の活用を促進する目的として、セミナー、シンポジウム、展示などのイベントが定期的に開催されており、10月にはオランダ国立図書館館長を招いた講演会が予定されているようです。
今回、国立国会図書館を訪れたことで、文教大学付属図書館に所蔵されていない多くの文献資料を手に取ることが出来ました。近代ドイツ哲学をテーマとする私はもとより、外国史を専攻する平ゼミのメンバーにとっては、国内すべての文献資料および提携する海外の国立図書館や関係機関の出版物にアクセスできる国立国会図書館の存在は大変貴重であると言えます。また、図書館に直接出向くことで、専門的な知識をもつ職員に直接問い合わせることができ、必要に応じて調査のポイントや参考になる資料、有益なデータベースやウェブサイトなどの役立つ情報を得ることができます(レファレンスサービス)。さらに現在、文献資料のデジタル化が進められており、卒業論文に関わる文献資料をインターネットから閲覧することも可能であることから、今後はこのサービスも併せて活用しながら、卒業論文の執筆に励んでいきたいと考えています(文責:平ゼミ3年・板垣)。