なぜ、卒業論文のテーマに現代性を用いるのか。
我々3年生は、現在、卒業論文のテーマ設定に取り組んでいる。平ゼミでは、テーマの要素として「現代性」と「歴史性」を用いる。現代性とは、世の中全体で問題になることであり、我々が考えていく必要がある事柄のことを指す。そのため、自分中心ではなく、公共性をもつテーマを考えていかなければならない。歴史性とは、現代性のなかで示した問題を、過去生きた人間の経験からどのように振り返るのかを考えていく事柄のことを指す。外国史ゼミの卒業論文のテーマに歴史性が求められるのは当然であり、現代性を兼ね備えたテーマ設定にこそ平ゼミの特徴があると言える。そこで今回は、現代性に重点を置き、卒業論文のテーマに現代性を用いることについて述べていきたい。
はじめに、なぜ、人びとは歴史を学ぶのか。過去と同じ過ちを起こさない為や過去の出来事を知り現代に生かす為など、学ぶ意義は人それぞれ沢山存在する。平先生は、現在を理解しようとする時に、現在しか知らなければ、現在を正確に理解することはできないと仰っていた。つまり、現在を理解するためには、我々が実際に見ているものだけでなく、過去を知ることが必要であるということだ。言い換えると、歴史学を用いて過去を振り返ることは、現在を客観的に検証することにつながる。このことから、歴史学は現在を理解するための学問なのである。よって、歴史学が現在を理解する学問であるからこそ、卒業論文のテーマには現代性が用いられるのである。
次に、現代性を用いることは、卒業論文のゴールを設定することにもつながる。歴史性だけでは、どこまでも研究できるうえに、我々がたどり着くべきゴールが見えないため、どこを重点的に研究すればよいのか迷ってしまう可能性がある。しかし、現代性を用いることで、取り上げる問題に対する分析を行い、その結果見えてきたものを卒業論文の結論として落とし込む事ができる。よって、現代性とは卒業論文の入り口であり、かつまた結論を示す出口でもあると言えるのである。
最後に、現代性は卒業論文を執筆する学生の個性を表す。歴史性だけではみえてこない学生のキャラクターが、現代性をどのように捉えるかで見えてくるのである。よって、現代性は自分が最も関心をもっている現在を提示することであり、その意味において卒業論文は学生の個性を鮮明に映し出す鏡となるのである。
以上のことが、卒業論文のテーマに現代性を用いる意義だと考える。《シリーズ卒業論文への道》第一回では、卒業論文のテーマ設定における現代性の重要さに気づいた。我々3年生はこれを踏まえ、自分らしいテーマ設定を行っていきたい。(文責:平ゼミ3年・鈴木)