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オンライン講演会に参加しました!

 202136日、早稲田大学ナショナリズム・エスニシティ研究所(Waseda Institute for the Study of Nationalism and Ethnicity)が主催するオンライン講演会に参加した。今回の講演会は、「移民国家アメリカの歴史研究とナショナリズムの問題」をテーマとして、1人の研究者がテーマに沿った講演を行い、もう1人の研究者がそれに対してコメントをするというものであった。講演会に参加してみて、「国家」(nation)という言葉の意味について考えるきっかけを獲得したことは最大の成果であった。そこで私が理解できた範囲で、印象に残った講演内容の一部を紹介したい。

世界規模でのグローバル化が進行するなか、移民の存在が注目されている。日本人が移民(例えば外国人労働者)の存在を考えたときに、文化の違いや外見の違いを真っ先に頭に浮かべる人が多いのではないだろうか。それは、日本人が自分の国という括りを無意識のうちに受け入れ、それが日本人という人種、独自の文化をもつひとつの民族を基盤として成立していると考え、自分の国以外で生きる人種や民族を異色の外国人として捉えてしまうからである。しかし、自由という理念のもとにヨーロッパ人と黒人奴隷が集結して成立したアメリカは、国家の誕生に民族的な起源が存在しない、世界史のなかでも特殊な「移民国家」である。

今回の講演会は、アメリカを分析対象として、「国家」とは何か、「移民国家」という言葉は適切かなど、言葉や考え方、観念、歴史学研究の方法論を問い直すことを最大の目的としていた。移民を卒業論文のテーマにしている私にとって、移民国家アメリカに迫ることで、日本という国家を無意識のうちに前提として理解していたこれまでの国家イメージが大きく揺らいだ。講演会に参加する前までの自分の問題意識に危機感さえ感じたほどである。また、講演会の冒頭からナショナリズム研究の専門用語が多く飛び交っていたため、講演内容を正確に理解できるか正直不安だった。しかし、講演者が問題設定から分析手法まで順序立てて丁寧に説明してくれたので、私も講演内容について考える機会を何度も見つけることができた。3時間という短い時間であったが、古くさい歴史学のイメージが吹き飛び、歴史研究の面白さを実感し、研究者の考え方や視点の専門性に驚き、非常に中身の濃い体験であった。今後も他の学会や講演会に参加できる機会があれば、ぜひ参加してみたい。最後に、こうした貴重な機会を設けてくださった平先生に感謝いたします。ありがとうございました(文責:平ゼミ3年 岡崎)。